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【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?4(八味地黄丸2)(20160429)

2016-04-29 [記事URL]

こんにちは!
馬場聖鍼堂 男性不妊担当の万木祥太郎です。

やっと春になったかと思えば
もうゴールデンウィークですね!
今年は有給を2つとれば夢の10連休ですね!

レジャーのご予定はいかがですか?

そんなGW直前にお届けするメルマガは
【男性不妊】でよく使われる漢方薬を鍼灸師目線で東洋医学的に解説するシリーズ
第4弾です。

今回は、前回ご紹介した【八味地黄丸】の生薬に着目して
お届けさせていただきます。

前回のメルマガの内容はこちらからバックナンバーをご確認下さい。

http://www.funinchiryou.net/mag2/20160318.html

さて、【八味地黄丸】に含まれる生薬ですが

地黄、山茱萸、山薬、茯苓、沢潟、牡丹皮、桂皮、附子
の8つです。

8つの味が入っているから八味なんですね。

では、それぞれの生薬の働きを簡単にみていきましょう。

<地黄(じおう)>
心、肝、腎に効きます。
寒の性質があることから熱を冷ますのに効果的ですが
具体的には腎臓の陰気を補うことで
のぼせとか手足からだらだら流れる汗など
虚熱の症状に効果的と考えられます。

<山茱萸(さんしゅゆ)>
腎臓と肝臓を補う作用があります。
酸温の性質があるので、弱りからくる緩みを引き締めつつ
腎陽も補うことができます。
ですので、精が漏れ出る遺精(夢精)などにも
効果があると考えられます。

<山薬(さんやく)>
脾、肺、腎に効きます。
腎臓の力を助けるだけでなく
脾臓の消化能力で元気を作り
肺のはたらきで全身に元気を散布する力が補われるので
身体の元気自体の回復を期待できます。

<茯苓(ぶくりょう)>
心、脾、肺、胃、腎の臓に効きますが
身体の中の余分な水分を尿として排出するなど
利水の働きが大きいです。

<沢潟(たくしゃ)>
腎、膀胱に効きます。
こちらも茯苓同様に利水の働きをしますが
より腎、膀胱にはたらくことで
湿熱などの蓄積による腎、膀胱の弱りに効果的です。

<牡丹皮(ぼたんぴ)>
心、肝、腎に効きます。
清熱と活血のはたらきがあり
肝火を抑え、血のめぐりを活発にしてくれることで
瘀血などにも効果があります。

<桂皮(けいひ)>
心、肺、膀胱に効きます。
陽気を補うことで、気を巡らし身体を温め、発汗させる作用があります。

<附子(ぶし)>
腎、心、脾に効きます。
桂皮同様、陽気を助ける力が強く、腎臓の陽気を
助けてくれます。

ざっくりとですが
以上が八味地黄丸に含まれている生薬とその働きです。

全体的に見てみると
腎臓の陰気を助けつつ
不要な水の処理や気血の充実を図り
腎臓の陽気をしっかり補う
というような組み合わせかと思います。

腎臓の気といっても、
より腎陽を補うのに効果的ということですね。

前回のメルマガの中で
T社の八味地黄丸の説明書きを紹介させていただきましたが
その中に陰萎の症状に効くとありました。

陰萎は、勃起障害や勃起不全のことです。

東洋医学では、勃起やその継続には腎臓の陽気が
とても重要な要素のひとつと考えています。

そのため、八味地黄丸で腎陽が補われることで
陰萎という症状にも効果があるんですね。

その他にも腎陽の弱りからくる症状としては
精子無力症などもあります。

つまり、精液に含まれている精子の運動率がとても低いという
状態です。

動く力には陽気が必要です。

ですので、精液検査をしてもいつも運動率が低い
という方には、八味地黄丸が処方されることが多い
というわけです。

ちなみに八味地黄丸から桂皮と附子を抜くと
【六味丸】という別の漢方薬になります。

こちらも不妊治療ではよく用いられるメジャーな漢方薬ですが
桂皮、附子という補陽の生薬がないことで
【八味地黄丸】が腎陽を補うのに効果的なのに対して
【六味丸】は腎陰を補うのに効果的な漢方薬になります。

このあたりの判別はとても重要です。
ご自身の判断ではなく、専門家にお尋ね下さいね。

ということで、
男性不妊に処方されることが多い漢方薬のひとつ
【八味地黄丸】について解説してみました。

説明の中で色々な臓器の働きについて書いてますが
それらは全て東洋医学的な臓器の働きで
現代医学での働きとは違いますのであしからず。

また、このメルマガは
漢方薬をご自身の判断で飲むことを勧めるものではありません。

漢方薬は体質に合ったものを服用することが大切です。
服用に際しては
お近くの漢方薬局などに相談されて下さいね。

なお、当院では、漢方薬をご希望のゲストや
鍼灸治療と組み合わせた方がより効果的と思われるゲストには
提携している漢方薬局から処方してもらうということが可能です。

鍼灸治療と漢方薬どちらも同じ方向性でアプローチできるので
相乗効果を期待できますよ(^^)

では、今回はこのへんで。


【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?3(八味地黄丸1)(20160318)

2016-03-18 [記事URL]

こんにちは!
馬場聖鍼堂 男性不妊担当の万木祥太郎です。

だいぶ春らしい気候になってきましたね。
日中の日差しが心地よい陽気です。

ちなみに、
東洋医学的に日光浴は身体の陽気を助けるのにとても良いんですよ。
陽虚体質で身体が冷えやすかったり、疲れやすかったりという方には
日光浴は簡単にできる養生法でもあります。

また、起きがけに朝日を浴びると体内時計がリセットされて
なんとなく身体が重だる~いような不定愁訴の改善や
その日を元気に気持ちよく過ごせるようになることも期待できます。

季節的にもどんどん陽気が高くなってくる時期ですし
日光浴、おすすめですよ(^^)

ということで、前置きが長くなりましたが
今回の僕のメルマガも
前回までに引き続き
男性不妊でよく使われる漢方薬をご紹介させていただこうと思います。

前回までは、
【補中益気湯】について
漢方薬の働き、含まれる生薬の働き
なぜ、男性不妊に良いのか
鍼灸治療との関係性
などなどについてご紹介させていただきました。

読んでない!
というかたは、どうぞバックナンバーをご参照下さい。

【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?(1)
http://www.funinchiryou.net/mag2/20151225.html

【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?(2)
http://www.funinchiryou.net/mag2/20160205.html

さて、今回ご紹介するのは
これも定番中の定番ですね。
【八味地黄丸】
です。

【八味丸】や【八味腎気丸】という昔ながらの名前で呼ぶこともあります。

T社の説明書によると、その効能は
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症
腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧
とあります。

一見、男性不妊と関係のある症状は陰萎ですね。
陰萎というのは、勃起障害、勃起不全のことです。

とはいえ、【八味地黄丸】は
勃起不全の方だけでなく、もっと幅広く男性不妊の方に
処方されているように感じます。

また、男性に限らず女性もクリニックから【八味地黄丸】を処方して
もらっていることも少なくありません。

これはどういうことなのでしょうか?

もちろん、【八味地黄丸】を飲むことで色々な効果があったから
ということでしょうが
理由は、東洋医学的にこの説明を読み解くと
分かりやすいです。

まず、”疲労、倦怠感著しく”というのは
東洋医学的には腎虚や気虚の症状です。

つまり、腎臓が弱っていたり、元気が弱くなっている状態です。
(ここでいう腎臓は東洋医学的な考え方によるものですので
現代医学的に腎臓の疾患があるというわけではありません)

東洋医学では
腎臓が生命力や生殖力を担当していると考えます。

つまり、腎臓の弱りは
精子力の低下にもつながり、男性不妊の原因になり得ます。

また、元気は、原気という言葉に置き換えることができるのですが
平たくいうと、エネルギー、生命力の源です。

元気が弱くなると、精子力も低下してしまいやすいのです。

また、”手足に交互的に冷感と熱感”というのも
腎虚の症状ですし、
坐骨神経痛や腰痛、脚気なども
腎臓の弱りからくることが少なくありません。

東洋医学的に腎臓は腰下肢(腰から下半身)も担当していますので
腰痛や足腰の痛み、冷え、むくみといった症状も
腎臓の弱りからくることがあるのです。

その他にも、”尿利減少や頻数”などの尿、膀胱と関係する
症状もありますが、
東洋医学的に、膀胱と腎臓は表裏の関係があります。

ですので、腎臓の弱りから膀胱の症状が出るということも
あります。(もちろんその逆も)

いかがですか?

症状などを東洋医学的に読み解いてみると
実は、ほとんどが腎臓と関係しているということが
お分かりになったかと思います。

東洋医学的に腎臓は生命力、生殖力を担当している
というのは、男性も女性も同じです。

ですから、女性にも【八味地黄丸】はオーソドックスな
漢方薬の一つとして用いられているんですね。
(処方している医師や薬剤師の先生方の思惑までは読み解けませんが)

ということで、
今回は【八味地黄丸】について紹介させていただきました。

次回は、【八味地黄丸】に含まれる生薬に着目して
その効能をみていきたいと思います。

どうぞお楽しみに。

なお、本メルマガは、漢方薬をオススメするものではありません。
興味を持たれた方は、かかりつけのドクターか
漢方薬局などでご相談いただければと思います。

ちなみに、当院では、通院下さっているゲストの方であれば
提携している漢方薬局から漢方薬を購入していただくことは可能です。
まずは体質チェックが大切ですが
お気軽にご相談いただければと思います。

では、今回はこのへんで。


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