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【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?5(柴胡加竜骨牡蛎湯1)(20160609)

2016-06-10 [記事URL]

こんにちは!
馬場聖鍼堂 男性不妊担当の万木祥太郎です。

じめじめと暑い季節になってきましたね。
熱中症対策は大丈夫でしょうか?
とはいえ妊活中は冷房で身体を冷やしたくないですし
難しい季節ですよね。

また妊活中の男性にとっては股間の熱対策がとても大事な季節でもあります。
ボクサーパンツやブリーフ派の方や自転車通勤をされている方などは
特に気を付けて下さいね!

ということで今回も僕のメルマガは
男性不妊でよく使われる漢方薬を東洋医学的に解説するシリーズです。

今まで紹介してきた漢方薬は【補中益気湯】と【八味地黄丸】でした。

5回目の今回は
3つ目の漢方薬として【柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)】を
東洋医学的に解説してみようと思います。

過去の解説について知りたい方ははメルマガバックナンバーをご覧下さいね。

【補中益気湯】
http://www.funinchiryou.net/20151225-2/
http://www.funinchiryou.net/20160205-2/

【八味地黄丸】
http://www.funinchiryou.net/20160318-2/
http://www.funinchiryou.net/20160429-2/

では、【柴胡加竜骨牡蛎湯】を見ていきましょう。

例によってT社の説明書きから見てみます。

効能、効果としては
比較的体力があり、心悸亢進、不眠、いらだち等の精神症状があるものの次の諸症
高血圧症、動脈硬化症、慢性腎臓病、神経衰弱症、神経性心悸亢進症、てんかん、ヒステリー、小児夜啼症、陰萎
とあります。

一見、男性不妊と関係のありそうなのは
陰萎くらいに見えますね。

陰萎は、いわゆる勃起不全や勃起障害のことです。
前回までにご紹介した補中益気湯や八味地黄丸の効能にもありました。

だからといって、
勃起不全や勃起障害が男性不妊の主な原因であったとしても
補中益気湯や八味地黄丸、柴胡加竜骨牡蛎湯の3つの漢方薬のどれを飲んでもOK
というわけではありません。

では、柴胡加竜骨牡蛎湯はどういう場合が適しているのでしょうか。
東洋医学の古典から考えてみたいと思います。

柴胡加竜骨牡蛎湯は『傷寒論』という東洋医学の古典に書かれています。

その本の中で柴胡加竜骨牡蛎湯はこのように紹介されています。

“傷寒八九日、之を下し、胸満煩驚、小便不利、譫語、一身尽く重く、転倒すべからざるものは、柴胡加竜骨牡蛎湯を主る”

つまりどういうことか今の言葉で平たく説明すると

熱性で急性の風邪を引いてから、便を下したのち、
胸やみぞおちのあたりが苦しくなったり動悸がしたり
尿が出にくくなったり、うわごとを言ったり、
身体が重くて自分自身で寝返りを打つこともできなくなってしまった人には
柴胡加竜骨牡蛎湯が効きます

ということです。

まだどうにも男性不妊と結びつきませんね。

ポイントは、胸が苦しかったり動悸がしたり・・・
という部分だと思います。
(その他の部分も大事なのですが、わかりやすいところで説明します)

どういう状況が思い浮かびますでしょうか?

日常生活に置き換えてみると
過度なストレスや心配事などにより胸やみぞおちが苦しくなっている状況です。

以前のメルマガで陰萎の原因の一つにストレスがある
ということをお伝えさせていただきました。
(バックナンバーはこちらです→http://www.funinchiryou.net/20141031-2/

慢性的なストレスは腎精を消耗し生殖能力を弱めてしまいますし
ストレスや心配事などから心臓に弱りがでてしまうと
心血の不足などに陥り、陰萎につながることがあるのです。
(ここでいう腎臓や心臓は東洋医学的な考え方ですので
実際に腎臓や心臓に現代医学的な病気があるというわけではありません)

つまり、
いわゆるストレスが原因で勃起障害や勃起不全という陰萎の症状が出ている場合に
柴胡加竜骨牡蛎湯が効果的だということですね。

慢性的にストレスを感じることが多かったり
みぞおちのあたりにいつも違和感があったり
という方にはあっている漢方薬かもしれません。

実際、クリニックで柴胡加竜骨牡蛎湯を処方してもらっているゲストのお話を伺うと
慢性的なストレスを感じていたり、タイミングED等で悩まれている方が
多いように感じます。

ではなぜ、柴胡加竜骨牡蛎湯がこういった症状に効果があるのか
についてですが
それは柴胡加竜骨牡蛎湯に含まれる生薬をみていくと
分かってきます。

ということで次回は、
柴胡加竜骨牡蛎湯の生薬に着目して解説していきますね!

では今回はこの辺で。

なお、このメルマガは
漢方薬をご自身の判断で飲むことを勧めるものではありません。

漢方薬は体質に合ったものを服用することが大切です。
服用に際しては
お近くの漢方薬局などに相談されて下さいね。

また、当院では、漢方薬をご希望のゲストや
鍼灸治療と組み合わせた方がより効果的と思われるゲストには
提携している漢方薬局から処方してもらうということが可能です。

鍼灸治療と漢方薬どちらも同じ方向性でアプローチできるので
相乗効果を期待できます。
お気軽にご相談下さい(^^)


【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?3(八味地黄丸1)(20160318)

2016-03-18 [記事URL]

こんにちは!
馬場聖鍼堂 男性不妊担当の万木祥太郎です。

だいぶ春らしい気候になってきましたね。
日中の日差しが心地よい陽気です。

ちなみに、
東洋医学的に日光浴は身体の陽気を助けるのにとても良いんですよ。
陽虚体質で身体が冷えやすかったり、疲れやすかったりという方には
日光浴は簡単にできる養生法でもあります。

また、起きがけに朝日を浴びると体内時計がリセットされて
なんとなく身体が重だる~いような不定愁訴の改善や
その日を元気に気持ちよく過ごせるようになることも期待できます。

季節的にもどんどん陽気が高くなってくる時期ですし
日光浴、おすすめですよ(^^)

ということで、前置きが長くなりましたが
今回の僕のメルマガも
前回までに引き続き
男性不妊でよく使われる漢方薬をご紹介させていただこうと思います。

前回までは、
【補中益気湯】について
漢方薬の働き、含まれる生薬の働き
なぜ、男性不妊に良いのか
鍼灸治療との関係性
などなどについてご紹介させていただきました。

読んでない!
というかたは、どうぞバックナンバーをご参照下さい。

【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?(1)
http://www.funinchiryou.net/mag2/20151225.html

【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?(2)
http://www.funinchiryou.net/mag2/20160205.html

さて、今回ご紹介するのは
これも定番中の定番ですね。
【八味地黄丸】
です。

【八味丸】や【八味腎気丸】という昔ながらの名前で呼ぶこともあります。

T社の説明書によると、その効能は
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症
腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧
とあります。

一見、男性不妊と関係のある症状は陰萎ですね。
陰萎というのは、勃起障害、勃起不全のことです。

とはいえ、【八味地黄丸】は
勃起不全の方だけでなく、もっと幅広く男性不妊の方に
処方されているように感じます。

また、男性に限らず女性もクリニックから【八味地黄丸】を処方して
もらっていることも少なくありません。

これはどういうことなのでしょうか?

もちろん、【八味地黄丸】を飲むことで色々な効果があったから
ということでしょうが
理由は、東洋医学的にこの説明を読み解くと
分かりやすいです。

まず、”疲労、倦怠感著しく”というのは
東洋医学的には腎虚や気虚の症状です。

つまり、腎臓が弱っていたり、元気が弱くなっている状態です。
(ここでいう腎臓は東洋医学的な考え方によるものですので
現代医学的に腎臓の疾患があるというわけではありません)

東洋医学では
腎臓が生命力や生殖力を担当していると考えます。

つまり、腎臓の弱りは
精子力の低下にもつながり、男性不妊の原因になり得ます。

また、元気は、原気という言葉に置き換えることができるのですが
平たくいうと、エネルギー、生命力の源です。

元気が弱くなると、精子力も低下してしまいやすいのです。

また、”手足に交互的に冷感と熱感”というのも
腎虚の症状ですし、
坐骨神経痛や腰痛、脚気なども
腎臓の弱りからくることが少なくありません。

東洋医学的に腎臓は腰下肢(腰から下半身)も担当していますので
腰痛や足腰の痛み、冷え、むくみといった症状も
腎臓の弱りからくることがあるのです。

その他にも、”尿利減少や頻数”などの尿、膀胱と関係する
症状もありますが、
東洋医学的に、膀胱と腎臓は表裏の関係があります。

ですので、腎臓の弱りから膀胱の症状が出るということも
あります。(もちろんその逆も)

いかがですか?

症状などを東洋医学的に読み解いてみると
実は、ほとんどが腎臓と関係しているということが
お分かりになったかと思います。

東洋医学的に腎臓は生命力、生殖力を担当している
というのは、男性も女性も同じです。

ですから、女性にも【八味地黄丸】はオーソドックスな
漢方薬の一つとして用いられているんですね。
(処方している医師や薬剤師の先生方の思惑までは読み解けませんが)

ということで、
今回は【八味地黄丸】について紹介させていただきました。

次回は、【八味地黄丸】に含まれる生薬に着目して
その効能をみていきたいと思います。

どうぞお楽しみに。

なお、本メルマガは、漢方薬をオススメするものではありません。
興味を持たれた方は、かかりつけのドクターか
漢方薬局などでご相談いただければと思います。

ちなみに、当院では、通院下さっているゲストの方であれば
提携している漢方薬局から漢方薬を購入していただくことは可能です。
まずは体質チェックが大切ですが
お気軽にご相談いただければと思います。

では、今回はこのへんで。


【男性不妊】でよく使われる漢方薬ってどんな薬?2(補中益気湯2)(20160205)

2016-02-05 [記事URL]

こんにちは!
馬場聖鍼堂 男性不妊担当の万木祥太郎です。

前回から男性不妊でよく使われる漢方薬について
鍼灸師の視点で東洋医学的に解説してみるシリーズをスタートしました。
今回はシリーズ2回目です。

前回は、クリニックで処方される男性不妊の定番漢方薬【補中益気湯】が
東洋医学的にはどういう効果があるものなのかについて
紹介させていただきました。

今回は、【補中益気湯】に含まれる生薬に視点をあてて
解説してみたいと思います。

ではまず、【補中益気湯】に含まれる生薬ですが
『内外傷弁惑論』という古典には次のように書かれています。

黄耆、甘草、人参、升麻、柴胡、陳皮、当帰、白朮

ただ、実際処方されることの多い製薬会社製のものには
大棗と生姜という生薬も追加されていることが多いようです。

ということで、
生薬それぞれのはたらきを簡単にみていきましょう。

<黄耆(おうぎ)>
東洋医学的に脾臓や肺にはたらき、”気”が弱っているのを助けたり、
身体を温めるはたらきがあります。
東洋医学では、脾臓は、食べ物を消化して元気を作ることを担当してますし、
肺は、気を全身に送るはたらきを担当しています。
補中益気湯に含まれる生薬の中では、この黄耆が中心的な役割をもっています。

<甘草(かんぞう)>
こちらも黄耆同様に”気”を助ける働きがあります。
心、肺、脾、胃に効きます。

<人参(にんじん)>
こちらも”気”を助ける生薬ですが、特に”元気”を大きく補ってくれます。
脾、肺に効きます。

<升麻(しょうま)><柴胡(さいこ)>
これらは身体の中の鬱滞した風熱の邪を発散させる働きがあります。
升麻は、肺、脾、大腸、胃に効き、
柴胡は、肝、胆、心包、三焦に効きます。

<陳皮(ちんぴ)>
気のめぐりを助けるはたらきがあります。
脾、肺に効きます。

<当帰(とうき)>
血を養うはたらきあります。
心、肝、脾に効きます。

<白朮(びゃくじゅつ)><大棗(たいそう)>
脾胃にはたらき、消化を助けることで、”気”の弱りを助けます。

<生姜(しょうきょう)>
身体を温め、発汗させるはたらきがあります。
肺、脾胃に効きますので、冷えによる胃腸の弱りやカゼにも効果的です。

これらが、補中益気湯に含まれる生薬のざっくりとしたはたらきです。

本当はそれぞれもっと細かく色々な効能があるのですが
解説が複雑になりますし、一般の方向けではなくなってしまいそうですので
ここでは省略させていただきます。

と、かなり大雑把な紹介ではありますが
消化器関係の臓腑にはたらくことで”気”の弱りを助ける
という生薬がたくさん入っているということが
分かりました。

ということは、
男性不妊で悩まれている方の中でも
食が細かったり、胃腸が弱く、
そのためにあまり元気が出てこない
という体質の方により効果的ということですね。

逆に胃腸が強く食欲旺盛で元気もある
けど、なぜか精子の状態はよくない・・・
こういう方にはあまり改善を期待できないかもしれませんね。

ということで、補中益気湯に含まれる生薬から
補中益気湯の効能、
適応となる男性不妊の方の体質
について考えてみました。

いかがでしたか?
よければ参考にしてみて下さいね。

ただ、このメルマガは漢方薬を勧めるモノではありません。
処方については、医師であったり、漢方薬局等にご相談下さいね。

なお、当院では、漢方薬をご希望されるゲストや
鍼灸治療に漢方薬を組み合わせた方がより効果的と考えられるゲストの方には
提携している漢方薬局から漢方薬を処方してもらうこともできます。

このように連携することで
鍼灸も漢方も同じ方向性でアプローチできるので
相乗効果で体質改善もより進みやすいんですよ。

ということで、2回にわたって紹介してきた
補中益気湯については、一旦ここまでです。

また次回は別の漢方薬について
紹介させて頂きますね!

では、今回はこのへんで。


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