食養生-ヤマノイモ(20080925)

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食養生-ヤマノイモ(20080925)

2009-01-30

こんにちは、はりきゅう師の近藤琉水です(^^)

今日は前回ご紹介しました漢方薬【六味丸】にも入っていた生薬、
山薬(さんやく)のお話です。
生薬というと難しそうに聞こえますが、山の芋のことです(^^)

日本ではかなり大昔から食用とされてきた歴史があります。
日本固有というわけではなく、アフリカや中南米でも食されています。
イモ類のなかでは唯一生食ができるんですよね。
とろろ汁とか、山かけ蕎麦とか、おいしいですよね!
おいしいだけじゃなく、生だからこそ摂取できる大切な栄養素があるんですよ。

あのネバネバ成分はムチンという、たんぱく質と多糖類が結合した粘性物質です。
納豆やオクラ、なめこなどにも含まれているネバネバ物質です。
動物の粘膜にも含まれていて、わかりやすいのはウナギやどじょうのヌルヌルとか、
人間でも口や鼻の中、胃腸の壁などのあらゆる粘膜もムチンで覆われています。

このムチンは、粘膜を潤して強くしてくれるので、例えば胃潰瘍の予防だとか、
さまざまなアレルギー症状の緩和に役立ちます。
また、たんぱく質の消化吸収を高めてくれるので、摂取したたんぱく質を無駄なく
体内に取り込むことができるのです。
それから、鼻の粘膜を強くすることで、ウイルス性の病気、風邪やインフルエンザ
などの予防にも効果を発揮します。
でんぷんの消化酵素、アミラーゼやジアスターゼも豊富なので、ごはんや麺類と
一緒に食すのは理にかなっていますね。
ただ、これら酵素は加熱に弱いので、熱くするのも40度くらいまでにしましょう。

お酒を飲むとき、アルコール度数が高いと胃壁を傷つけるので、
ムチンを含んだものをおつまみに食べるのがいいですね。

ヤマノイモの成分のほとんどが水分とでんぷんですが、食物繊維も多く、便秘解消や
腸のお掃除のために、積極的に食べるといい食品です。

その他にも、新陳代謝を活発にするコリンや、抗酸化作用のあるサポニン、
活性酸素を解毒するカタラーゼなどもありますね。
コレステロールを減らして動脈硬化を予防し、血糖値を降下し、
つまりは老化防止や強壮作用も期待できます。

それでは、今度は漢方的な見方をしてみましょう。
ヤマノイモ、山薬は体を潤す働きが強く、虚弱体質を改善します。
胃腸が弱い方にも、”陰虚”体質の方にも適しています。
ただし、五味でいうと「甘」ですので、余分な水分が体内に溜まり易く、
お腹が張りやすくなりますので、ふだんから食べすぎで消化不良の方は
控えめのほうがいいようです。
それ以外の方は、老人から妊婦さん、子どもまで大丈夫です。

東洋医学的な効能をいうと、
まずは「健脾益気」=胃腸を丈夫にし、吸収力を高め、体力をつけます。
「補肺固腎」=衰弱した肺の機能を高め、生殖機能を保ちます。

どうでしょう。不妊治療にぴったりでしょう?!

他にも「鎮心安神」といって、精神を安定させる働きもありますよ。

この秋、夏の疲れが出てきて体がだるい、食欲がない、といった症状があり、
不妊治療で精神的にも参っている、という方々にぴったりです。

食べ方はやっぱりすりおろして、お醤油をかけて食べるのが基本です。
お蕎麦や麦ごはんのときは少しだし汁でのばすといいですね。
置いておくと変色してきますから、おろしたらすぐに食べましょう。
保存するときは切り口をラップで包み、冷暗所でお願いします。

たまに、おろした後、手が痒くなりますよね。
あれはシュウ酸カルシウムの仕業なのですが、この物質は酸に弱いので、
皮をむいてから薄めた酢で洗うと痒みを防ぐことができますよ!

あと、豆知識として、むかごを紹介しましょう。
これはヤマノイモの葉っぱの付け根にできる球芽のことです。
秋の味覚の一つですね。むかごご飯、おいしいですよ!
皮をプチッと噛みやぶると中はトロッとしてて、なんだかやみつきになる食感です。
甘辛く煮付けても美味です。

九州みやげで有名なかるかんまんじゅうというのがありますが、
かるかん粉という米の粉にヤマノイモを混ぜて生地を作るんですよ。
独特のしっとり感がいいですね。

これから秋の風が吹くと風邪をひかれる方が増えますが、
風邪の予防のためにも、そして腎を養うためにも、
これからが旬のヤマノイモをしっかり味わいましょうね!

さて来週はイモつながりで「さつまいも」です。
秋といえば、遠足の定番・イモ掘り、ですよねぇ。
どうぞお楽しみに。

それでは、また次号でお会いしましょう!



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